川崎市中小企業等人材確保支援事業補助金を元国家公務員が徹底解説!

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From:馬場宏
溝の口のプライベートオフィスより、、、

『令和4年度川崎市中小企業等人材育成・人材確保支援事業補助金』ですが5月16日に募集要領が公開されました。

補助金は事業目的を理解することから始まる

補助金の施策には、行政は必ず目的があります。
その目的にかなうことが補助金申請が採択される大前提になります。

補助上限額が大きかったり、採択率が低めの補助金の場合、公募要領を読み込むことで目的の背景まで理解して申請書を作成することで、採択率が劇的に高まります。

近年では公務員の数を減らし、外部に委託できることは委託するという大きな流れがあります。

そのため、多くの補助金事業で申請受付や審査をする事務局が外部委託されています。

外部委託先は入札によって決まります。
入札で決まった外部委託先によって、勝手な審査基準を決められてしまうと行政としては困ります。

例えば、今年度と来年度で同じ補助金で運営事務局の落札業者が変わったとします。その結果、審査基準がガラリと変わってしまい、今年度だったら間違いなく採択されたであろう申請が、来年度だと採択されないとしたら?

事業者が困るのはもとより、行政も困ります。

そのため、行政から審査の方針や基準が示されることが大半なのですが、我々事業者は、具体的な審査基準を想像することに意味はありません。

大切なのは、なぜこの補助金施策があるのだろうか?
どんな目的でどんな課題を解決するための補助金施策なのか?

を理解することが大切です。

同じ補助金でも、数年前と今年ではポイントを置いている課題が時代背景などを理由に変わっていることがあります。

公募要領などの資料をしっかり読んで、目的を理解して、その目的にかなう申請内容を作成すれば、かなりの確率で採択されます。

一般的な補助金にかんする解説になりましたが、次から川崎市の中小企業等人材確保支援事業補助金について解説していきます。

川崎市中小企業等人材確保支援事業補助金の概要

募集要項公開次第、川崎市のホームページへのリンクを掲載します。
現時点では、昨年度までの情報をベースに内容とポイントをお伝えします。

公募期間

令和4年5月16日(月)~令和4年12月9日(金)
※ただし、予算額に達した段階で終了

令和3年度は公募期間が令和3年5月24日(月)〜12月17日(⾦)でしたが、令和3年11月10日には予算額に達したため公募が終了しました。

対象事業者

・市内に事業所を有して1年以上事業を営む中小事業者等であること。
※例外が5つありますが、公募要領が公開しましたら川崎市のホームページからご確認ください。

補助金を利用するために事業所を転々とするような悪徳事業者を排除しないと、補助金の原資は税金ですので公平性が担保されないため、川崎市内での事業実態を確認するという要件です。

・中小事業者の定義(業種別の資本額・従業員数)を満たすこと。なお、資本の額と従業員のいずれかを満たせばOK。

※当社で支援可能な業種のみ以下に抜粋します。全業種の情報は川崎市のホームページからご確認ください。

業種資本の額従業員(常勤)
製造業・建設業・運輸業3億円以下300人以下
医療法人・社会福祉法人100人以下

・過去2年度以内に「生産性向上促進事業支援補助⾦(生産性向上チャレンジ支援・先端設備等実践導入支援)」又は「川崎市中小企業等人材育成・確保支援事業補助⾦(人材育成事業・人材確保事業)」の交付決定を受けた事業者は対象外。

補助対象事業

生産性向上や働き方改革に取り組んでいる市内中小事業者等が人材確保のために行う就職フェアへの出展や、就職希望者に自社をPRするための動画やパンフレットの製作等

補助対象経費

川崎市のホームページには以下の記載があります。

補助対象経費は、中小事業者等が生産性向上や職場環境改善等に向け意欲的に実施する事業に要する経費のうち次に掲げるものです。

【人材確保事業】

生産性向上や働き方改革に取り組んでいる市内中小事業者等が人材確保のために⾏う就職フェアへの出展や、就職希望者に⾃社をPRするための動画やパンフレットの製作等に要する経費を支援。

ホームページの制作は、「外部委託料」に該当します。

注釈に、「上記の対象経費の執⾏にあたっては、市内中小企業への優先発注にご協⼒ください。」と記載があります。これは、川崎市という市町村レベルの補助金であり、川崎市の税金として拠出されるわけですので、受託する会社も川崎市内の事業者であることが、川崎市の事業者の発展に繋がるという考え方です。

補助率・補助限度額

人材確保事業は、補助率が対象経費の2分の1以内、補助限度額が20万円です。制作費が60万円で補助額20万円、40万円で20万円、30万円で15万円・・・といった感じになります。

補助対象期間

交付決定日から令和5年3月31日
※期間内に事業を完了するとともに、本事業による生産性向上・働き方改革の成果を報告書に記載できることが条件となります。

つまり、人材確保につながるホームページを作るだけではダメということです。制作が完了し、令和5年3月31日までの成果を報告書として提出しなければなりません。

申請書類

公募要領公開後、川崎市のホームページで確認してください。

申請書類自体は、経済産業省の補助金や厚生労働省の助成金を申請したことがある方はビックリするくらい、シンプルなものになります。メインとなる補助金交付申請書は、何をポイントに記載すれば良いかアドバイスしますので、そちらの内容を記載していただき、事務局と確認をしていただくことで負荷なくスムーズに申請を進められます。

採択決定方法

先着順にて申請書を受け付け、順次書類審査を⾏い、交付先を決定します。
※予算内での配分となるため、申請額と交付決定額は一致しない場合があります。

先着順ですので、早めに申請するに越したことはありません。また、※の内容は、仮に40万円の制作費で補助上限額20万円だったとしても、予算内の配分になるため申請事業者の数が多ければ、場合によっては15万円の交付決定になる可能性もあるという意味です。

そういう意味でも、予算の大半が消化された段階で申請するのではなく、早めに申請する方が得策と言えます。

なお、申請タイミングと申請資料の精度で事務局による審査の時間は変わります。事務局との面談から2、3週間はみておきましょう。

採択決定後の手順

流れは川崎市のホームページで確認してください。

本補助金に限らず補助金を初めて申請する方は、以下に注意してください。

“補助事業完了後に実績報告書提出を受け、支出内容等の証拠書類等を確認の上、補助⾦額を確定し、その旨を記載した補助⾦確定通知を送付します。確定通知の送付後に、交付決定企業からの請求により、補助⾦を交付します。”

つまり、先に外部委託料の支払いが発生し、その後、実績報告書の提出を受けて補助金額が確定、川崎市に補助金の支給を請求することで交付されるということです。持ち出しが先に発生するということはおさえておいてください。

川崎市中小企業等人材確保支援事業補助金のポイント

補助金を申請するときにたびたびネックになるのが、自社で考えている内容が補助対象になるかどうか、ですよね?

補助対象要件

「生産性向上や働き方改革に取り組んでいる市内中小事業者等」と書いてあります。

つまり、生産性向上・働き方改革に取り組んでいることが前提になります。

ここから考えられることは、人材確保のための取組みであれば補助金を出すというものではない、ということです。

生産性を向上させるための取組みや働き方改革に取り組んでいる中小企業が人材確保のためにかかる費用に補助金を出す、と言っているのです。ニワトリ卵の議論になるかもしれませんが、人材を確保するために生産性向上や働き方改革に取り組んでいるなら補助金を出す、と言っているのです。

つまり、国が主導している働き方改革を市としても推進していくための補助金事業と考えられます。

生産性向上・働き方改革

ここで問題になるのが、多くの中小企業にとって「生産性向上や働き方改革」は簡単なものではない、ということです。これが申請にあたってのハードルだと考えている方も多いのではないでしょうか?

なにが良くて、なにがダメかは事務局に相談するしかありません。

しかし、多くの人が思っているほど、壮大なことしか認められないわけではありません。

大切なのは、本当に従業員のことを想い、従業員のモチベーションがアップしたり、満足度がアップするような社内での取り組みをしていることです。

例えば、週休1日の建設会社が月に1日週休2日にする、ということだって立派な生産性向上・働き方改革です。

思ったほどハードルは高くない!そう思ってください。

補助対象事業

本補助金で言えば、明示されているのは、

・就職フェアへの出展
・自社をPRするための動画の製作
・自社をPRするためのパンフレットの製作

のみです。最後の「等」にどこまで含まれるか?ここは、事務局に相談するしかありません。

ホームページは新規作成、リニューアルともに、令和3年度までは対象として認められていましたので大丈夫だと思いますが、公募要領公開後に確認は必要です。

本補助金を活用した企業の実績

最後に

川崎市の人材確保支援事業補助金は、補助金申請書類自体はすごく簡単に作成できます。国の小規模事業者持続化補助金のような大変な資料は必要ありません。

・現状の課題はどこにあるか?
・その課題解決のために具体的にどんな取組みをするのか?
・その取組みによって具体的にどのような効果が見込まれるか?
・実現するためにどのような人材をどのくらい獲得する必要があるのか?

これを、生産性向上・働き方改革の切り口で一貫性をもって記載すれば、問題なく採択されます。

ご参考にしてください。

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