求人・採用
新聞の折込広告や求人情報誌、コミュニティ誌の求人欄、求人サイトの求人情報など、求人募集広告でよく見かけるキャッチコピーの1つに「アットホームな職場です!」というものがあります。
特に、介護業界を筆頭にさまざまな業界でよく使われるキャッチコピーです。もしかしたら、あなたの会社の求人募集でも同じようなキャッチコピーを使っているかもしれません。
結論からお伝えすると、キャッチコピーにアットホームを使うと応募が来ません。
アットホームではなく、あなたの会社が欲しい人材の心に響くキャッチコピーにすることで、応募が来る可能性を”グン”と高めることができますので、最後まで読んで参考にしてください!
適切なキャッチコピーは、求職者の注意を引き付け、興味を持たせることができます。
キャッチコピーは求職者の一番目に留まりやすい場所に載せます。キャッチコピーに興味を持ってくれれなければ、キャッチコピー以外にどんなに求職者にとって素晴らしい内容を伝えていても、見てもらえなくなる可能性が高いです。
人手不足が深刻化して、多くの同業他社が求人をしている時代です。多くの求人情報に埋もれてしまわないためにも、注意を引き付けるキャッチコピー作りはめちゃくちゃ重要になります。
求職者にとって魅力的なキャッチコピーは、応募する意欲を高めることができます。
抽象的なキャッチコピーでは求職者は求人企業の魅力を感じられません。この会社で働くと自分に具体的にどんな良いことがあるのか?が分かる、具体的なメリットを伝える必要があります。
会社の魅力や求職者が求めるメリットが入っていれば、応募のハードルが下がります。
役割については分かっていた、という方も多いと思います。
キャッチコピーを作るときに、いろんな会社のキャッチコピーを調べて作ったけど、具体的な魅力やメリットを入れている会社はほとんど見かけなかった。特に、大きな会社ではそういうのはなかったので、アットホームな職場をキャッチコピーに使ったという人もいるでしょう。
そのとおりで、大企業のキャッチコピーは抽象的なものがほとんどです。
それは、大企業だからです。
大企業の場合は認知度があって、求職者の方から企業に対して興味・関心をもっている状態です。黙っていても応募がたくさん来るので、たくさんの応募者からどう絞っていくか?言い方を変えると、どうやって落とすか?の基準を考えることを重視しています。
そのため、キャッチコピーに求められる役割が中小企業とは異なり、応募を増やすためにどうするか?という視点はありません。
大企業は、商品サービスの販売でも同じですが、求人募集でもイメージ広告をしています。イメージ広告は広く浅く、多くの人に「Aと言えばB」というイメージをもってもらうためのものです。そのため、抽象的なものになります。
中小企業は欲しい人材を明確にして、その人が見たときに自社に興味・関心を持ってもらえるようにピンポイントなキャッチコピーを作る必要があります。たとえば3名採用するのに、30名の応募を集める必要はありません。自社に興味・関心をもつ3名から応募を集める、つまり、3名応募で3名とも採用したい人、という状態を目指すことが大切です。
中小企業が「アットホームな職場」をキャッチコピーに使った場合、採用活動にリスクが発生します。
そもそもアットホームとは何でしょうか?アットホームな職場が意味することは何でしょう?
「社員同士の仲が良く、和気あいあいとしていて、協力しながら働ける職場」こんなニュアンスで多くの方が説明します。
では、仲が良いってどういう感じに?どういう状態なら仲が良いと言えるのでしょうか?
別に意地悪な質問をしているのではなく、実際に求職者が同じように思ってしまうのです。そのくらい、アットホームな職場という言葉は抽象的で意味の捉えようがさまざまになってしまいます。
その結果、求職者が考えるアットホームな職場のイメージが異なるので、求人企業側のあなたにとってはアットホームな職場に思えても、ある求職者にとってはアットホームと感じないことがあります。漠然とした抽象的な言葉は求職者との間で齟齬を生むリスクがあります。
社員同士が仲良しな職場であることを、アットホームな職場ということでアピールするとして、求職者にどうやって仲良しな職場であると感じてもらえば良いでしょうか?
よくあるのは、社員が仲良さそうに肩を組んで10人くらいで笑顔で写っている写真。他には、社員旅行や忘年会、BBQ等のイベントで楽しそうにしている写真でアピールするものです。最近だったら、YoutubeやTikTokで動画を使って雰囲気を伝えている会社も多いですよね。
しかし、そういった写真や動画を見て、「この会社、すごく仲が良さそう!楽しく仕事ができそう!この会社に入りたい!」と思うでしょうか?残念ながら、写真や動画だけで判断はできません。
結局、その会社に入社してみないことには、アットホームな職場かどうかは分りません。
それに、アットホームとか仲良しな職場みたいな、人間関係をアピールするのは危険でしかありません。なぜかというと、人間は100人いれば100通りの性格があるからです。
今はみんなで仲良く和気あいあいと仕事をしているから大丈夫と思ってはいけません。あくまで人間関係は人対人で決まるので、性格が合わない、考え方が合わなくて、全然仲良くなれないし、仲良くなりたくもない・・・と感じる人だっているからです。
それに、人間関係は、ちょっとしたことがきっかけで崩壊することがあります。誰か1人タイプの違う人が入社したり、大したことない意見の食い違いだったり、何気ない一言だったり・・・
最悪なのは、クチコミで書かれることです。「アットホームな職場とアピールしていたので入社したけど、前から働いている人たちが仲良しなだけで、新しく入ってくる人には冷たくて、質問しても答えてくれなかったり最悪な職場でした。」みたいなことを書かれたら、もうおしまいです。
「アットホームな職場」というキャチコピーに惹かれる人はどんな人か考えたことがありますか?
転職であれば、今の会社で人間関係がギスギスしていてストレスを感じるので、アットホームな職場で働きたいと思っている人の可能性が高いです。新卒では、学校の人間関係でストレスを感じている人の可能性が高いです。どちらにしても、人間関係で悩みを抱えている人です。
そして、人間関係で悩みやストレスを抱えたくない、仲良くストレスなく仕事ができる会社に入りたい人です。
ここまでに伝えたとおり、人間関係は難しく、どう捉えるかはその人によって異なるという側面があります。ですから、アットホームな職場というアピールに惹かれて入社しても、自分にとってはアットホームに感じなければ、早期の離職に繋がってしまいます。
そもそも、あなたの会社はどんな人材を求めているのでしょうか?もし、求めている人材像が別なのであれば、アットホームな職場というキャッチコピーでアピールすると、求めていない人材から応募がくることになってしまいます。
求職者から見たら、「またアットホームな職場の会社か・・・」「アットホームな職場以外にアピールできることはないの?むしろ、他にアピールできることがないから、アットホームな職場って書いてるのでは?」と勘繰ってしまいます。
また、「アットホームな職場」をキャッチコピーにしている求人企業はたくさんあるため、大量にある求人情報の中で埋もれてしまいます。
たしかに、他にこれといってアピールできることがないから書いてしまった、という方もいるでしょう。そういう方でももっとアピールできることがあるので、心配しないでください。
あなたの会社がアットホームな職場なのには、何かしらの理由があるはずです。以下の質問に答えてみてください。
・なぜあなたの会社はアットホームな職場だと言えるのですか?
・昔からずっとアットホームな職場だったのですか?
・アットホームな職場にするためにどんな取組みをしたのですか?
・なにがきっかけでアットホームな職場になったのですか?
出てきた答えに対して、さらに「なぜ?」を考えてください。何度か答えを掘り下げることで、表面的な答えから、本質的な答えに行き着きます。
アットホームな職場と言える背後にある理由にこそ、あなたの会社の魅力があります。それをキャッチコピーにしてアピールしましょう。
もう1つ方法をご紹介します。
求職者は「アットホームな職場」であることを求めているのではなく、「アットホームな職場だから〇〇〇」の〇〇〇の方を求めています。すでに記載しているとおり、アットホームという言葉だと、抽象的でなにが良いのか伝わりません。そこで、以下の質問に答えてみてください。
・アットホームな職場だと、どんな良いことがありますか?
・アットホームな職場を通じて、何を実現できますか?
・アットホームな職場で働いていると、どんな未来になりますか?
先ほどと同じように、1回でやめずに「なぜ?」を繰り返してください。
アットホームな職場であるからこそ、あなたの会社で働くことで得られる良いこと、実現できることがあります。それが働く人にとって魅力になりますのでキャッチコピーにしてアピールしましょう。