求人・採用
多くの地場で活躍する中小建設業で、若手職人が不足しています。建設業全体の課題として、高齢化と若年層の不足が叫ばれて久しいですが、年々状況が悪化しています。
中途採用の求人募集をしても、20代が欲しいのに応募がくるのは50代・・・たまに20代の職人から応募が来ても業界の渡り鳥のように既に何回目かの転職みたいな人・・・でも、どうすれば若い職人から応募が来るか分からない・・・という中小建設会社は多いはずです。
そういう建設会社には、是非、高卒新人として職人の求人をすることをお薦めします。
「いや~うちは職人を高卒で採用しても、育成できる体制がないから」という理由で、高卒の求人をしていない会社がこれまでの経験から多くありますが、社員数が10名ちょっとの会社でも試行錯誤することで職人を育成できるようになっていますので、きっとあなたの会社も大丈夫です。
「でも、そもそもうちみたいな会社が高卒職人の求人をしても応募は来ないと思うよ」とおっしゃる方もいるでしょう。これは、そもそも求人のやり方に問題があります。
では、どのように求人すれば高卒職人を採用できるのか?必ずやらなければいけないことをご紹介します。若手職人を増やしていきたいと少しでもお考えなら、最後までお読みください。
具体的な内容に入る前に、建設業を取り巻く環境を見ておきます。
まず、新卒採用の状況です。
建設業全体ということで、会社規模や大卒/高卒、職種の区別もないデータになりますが、2009年を底にその後は微増・微減はあるもののトレンドとしては増加しています。
先入観で「今の若い人には建設業は人気がない」と思っているとしたら、実は、思っているほど不人気ではないということを示していると言えます。
次に年齢構成の特徴を見てみます。全産業平均と比較して、55歳以上が多く高齢化が顕著、29歳以下が少なく若年層の担い手不足が顕著になっています。
もう1つ、技能労働者=職人の過不足率を見てみましょう。東京オリンピック開催に伴う建設需要の増加で一時期職人不足が深刻なレベルになっていましたが一段落した状況です。コロナ禍での減少を除いて考えると、不足率は1~2%で推移している感じですので、トレンドとしては職人不足は続いていくと考えられます。
これらの情報から、
・職人の不足は続き、特に小さな会社にとっての求人は厳しい状況が続く
・高齢化が解消されず、若年層が少ない状況が続けば会社の存続が難しくなる
・業界全体としては新卒入社は増加傾向であるため、やり方次第で若年層採用で職人不足を解消できる
と考えられます。
高卒採用の年間スケジュールを確認して、期限までにハローワークに求人登録してください。そして、解禁日当日に求人票を置いてもらいたい建設系学科のある工業高校や定時制高校に行きましょう。解禁日当日というのが結構重要です。
高校によりますが、解禁日からどんどん生徒に会社(求人票)を紹介し始めて、1週間もするとほとんど紹介が終わっていることがあります。お客様でも近所の高校に解禁日から1週間経たないくらいに連絡して求人票を持参したら、「もう少し早く来ていただけたら・・・」と暗に言われたことがあります。
コロナ禍の今は基本的に訪問を受け付けず、郵送のみで受け付けている高校もあります。高校にきちんと確認をしてください。訪問して持参、郵送のどちらであっても、とにかく早めに行動です!
求人票だけしか持参しない、郵送しない会社がありますが、採用にこぎ着けたいならパンフレットも必ず一緒に持参or郵送しましょう。その高校に初めて求人票を置いてもらう、その高校の卒業生で就職して自社で働いている社員がまだいない、そういう場合は求人票だけだと受け取ってもらえはしますが、なかなか生徒への紹介は難しくなります。
学校側(先生)としては、例えちょっとやんちゃな生徒であったとしても、かわいい生徒なのです。なので、「少しでも良い会社に入ってもらいたい」、「長く働けるような会社から内定をもらって欲しい」、「本人に本当に納得してもらいたい」といった気持ちをもっています。
ですから、先生も求人している会社について詳しく知りたくなります。求人票以外の情報が分からない会社を、「Aさん、この会社なんかどうだい」と無責任に紹介できません。学校、先生が情報を欲している以上、求人企業側としては積極的に情報を提供すべきです。
また、パンフレットは求人票と一緒に生徒に手渡せることに大きなメリットがあります。物としてもらうと生徒も見ますし、生徒の家族も見ますし、パンフレットがあるだけでしっかりした会社というイメージを与えることもできます。
こんなことを思う方もいるかもしれません。パンフレットがなくても、「うちはホームページがあって、そこに求人情報を載せているから、パンフレットは必要ないのでは?」と。
まず、パンフレット以外にホームページを用意して、求人に関する情報を豊富に提供することは、応募が来る確率を格段に高めます。ということで、ホームページはあった方が良いです。
ちなみに、パンフレットはいわゆる会社案内のパンフレットではありません。会社案内のパンフレットは事業案内が軸になるので、働く人が主人公になる採用のためのパンフレットを作ってください。
先生はパンフレットを見た上で、ホームページでどんな会社がさらなる情報を調べます。「どんな会社なのか?」「どんな事業をしているのか?」「代表者はどんな人でどんな考えをしているのか?」「採用に関してパンフレット以外の情報は載っていないか?」
情報が多ければ多いほど、生徒に紹介するうえで先生も安心できる材料が増えていきます。先生が安心して自社の求人を紹介できるようにするには、どんな情報を知ってもらうと良いか?を考えて、ホームページの情報を作り込みましょう。
企業側の買い手市場のときには、学生が知りたいことがあれば面接のときに質問してくれればいい、というスタンスで良かったです。しかし、今は完全な学生側の売り手市場です。
自社のことを知ってもらうために、積極的に求人に関する情報を発信しなければいけません。「あ!この会社、いいじゃん。入りたいな!」「へぇ~、この会社、こんなことやってんだ。他の会社はこんなこと書いてなかったよな。面白そうじゃん!」とか、興味・関心をもってもらう必要があります。
限られた情報しか載せられない求人票や通り一遍の内容のホームページだけでは不十分です。
そのため、ホームページのブログやSNSも使って積極的に情報発信をしましょう。SNSは必須ではありません。人的リソースに余裕がなければやらなくても大丈夫です。
求人票でも「仕事の内容」や「補足事項」の欄に書くことはできます。しかし、文字数の制限の関係や見やすく、分かりやすく伝えるのはなかなか難しいです。制約を気にすることなく、見やすく、分かりやすく伝える場合は、やはりホームページが便利です。
といっても、伝える内容が重要なのは言うまでもありません。とりあえずこんな感じかな、というので魅力を5個くらいあげても、そういう魅力は相手に伝わりません。
職人を巻き込んで自社の魅力の棚卸をしましょう。そして、同業他社の求人募集の内容を確認して、なにをどのように伝えるか考えましょう。同業他社の多くが書いていることを魅力として書いても、学生はスルーします。「他の会社も似たようなこと書いてたな」と。
同業他社と同じような魅力しか見つからなくても、伝える切り口とか表現を変えることで、同じように見えなかったり、この会社ちょっと違うなと思ってもらえるので、伝え方をしっかり検討しましょう。
パンフレットにしてもホームページにしても、ある時点の情報であったり、自社の主張に過ぎません。よりリアルタイムに近かったり、主張に対する証拠がある方が学生は安心します。
特に今の若い人たちは、ネット上の情報に対してかなり疑いの目をもって見ています。自社の特徴で魅力的なことを書いても、「どうせ噓でしょ?」、「誇張してんじゃないの?」と思われてしまいます。
たとえば、「資格取得費用を全額補助していて、難易度の高い資格の取得を応援しています」と書いていても、実際に難易度の高い資格を取っている職人がいるかは分かりません。でも、合格したときにブログやSNSで合格証の画像付きで報告すれば、信じてもらえますよね。
そこまでやらないといけないのかと思うかもしれませんが、ネットの情報は信ぴょう性が低く感じると言うのは間違ってはないので、信ぴょう性を補填する情報を発信していくことが大切です。
やはり時代を意識した求人活動をすることが大切です。中途採用でも新卒でも同じです。お客様先の若い職人さんたちと話をしていても、今の時代は5年、いや3年ひと昔と感じるくらいに、変化のスピードが早いです。その変化を捉えておかないと、高卒の求人がうまくいかなくなります。
YoutubeやTiktokなどの動画に慣れ親しんでいる世代なので、文字だけよりも動画を活用することで、より伝えたい内容が伝わります。求人とは関係ないですが、今WEB業界界隈では、「文字情報は限界。文字情報と画像だけの時代は終わりを迎えた」と言われています。内容にもよりますが、動画でないと検索順位があがらないものも出てきました。
学生にとって動画があると何が良いかというと、「動画の方が気楽に情報が得られる(読まなくていい」、「文字だけでは分からない、雰囲気がなんとなくでも分かる」、「顔出しで動画をアップしているくらいだから嘘を言ってないと思う」ということがあります。
ですから、自社のポイントを伝える3分尺くらいの動画を作ったり、先輩インタビューも文字だけより動画を撮影するなどして、読んでもらう・知ってもらう工夫をしましょう。
これは高卒に限らず、中途で採用する20代の若年層にも言えることですが、最近の若い人はとても真剣に自分の将来のことを考えています。お客様先の若手職人と話す機会がよくあるのですが、どこの会社でも同じです。「え?そんなことを考えているの?」と思うくらい考えています。
どうやら今の若い人たちは日本の未来に不安を感じているようです。給料が増えずに、税金や社会保障費といった負担ばかり増えているニュースが多いですから。こう言ったら失礼ですが、我々が思っている以上に、真剣に自分の未来のことを考えて、新卒で就職する会社を選んでいます。
そのため、社長挨拶とかメッセージはちゃんと読む人が増えています。「会社、事業をどうしていこうと考えているか?」、「職人のことをどう考えているか?」、「新卒で入社する職人にどんな想いをもっているか?」等を本音で伝えることが今まで以上に重要になります。
学校の先生視点で書きましたが、パンフレットとホームページは生徒の家族もみます。ですので、生徒の家族が「この会社いいじゃん!」と思ってくれるものにしましょう。そうすれば、生徒の家族を味方に付けられます。なんだかんだ、家族の影響力はあるので、味方に付けられると大きいです。
高校生はスマートフォンで仕事を探したり、求人票をもらった会社のことを調べることが大半です。職人を希望する高校生も例外ではありません。スマートフォン対応していないホームページだと、見にくいという理由だけで検討対象から外れてしまう可能性があるので注意が必要です。
・ハローワークで建設業の職人から応募がくる求人票の書き方6つのポイント
・建設業における人手不足の現状と将来予測から今後の対策を考える
・建設業がホームページを作る必要性5つの分類と7つのメリット
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