求人・採用
求人募集をしても応募が来ないと頭を抱えている中小の建設業・運送業の経営者様は多くいます。中小企業という表現だと曖昧というか範囲が広いので、当社のこれまでの経験から言うと社員数が100名未満、その中でも60名未満の会社がかなり厳しい状況にあります。
こうした経営者様は、応募が来ない状況に対して何もやっていないわけではありません。
ネットで検索したり、求人広告業者の話を聞いてみたり、セミナーに参加してみたり、専門書を読んでみたり、いろいろとやっています。
しかし、本当にタメになることを知れたと思うことは少ないのではないでしょうか?役に立たない理由と、どうすればいいのかをお伝えします。
これは書籍なので仕方がないですが、出版社として販売部数を増やす必要があり、採用や求人に関しては業界や職種で絞ることが困難なのだと考えられます。
つまり、建設業の職人や運送業のトラックドライバーのような、いわゆるガテン系の求人にフォーカスした書籍では販売部数が限られて利益にならないのでしょう。
そうなると、全業界・全職種で共通するような一般論や理想論を書くしかなくなります。
一般論や理想論から、職人の求人だったら?ドライバーの求人だったら?と具体策を考えるのは簡単ではありません。もちろん一般論や理想論を知ることも重要ですが、ほとんどの場合、具体的な解決方法を探しているでしょうから、役にたたなくなってしまうのです。
求人では、まずプロジェクトチームを組織しましょう、と書かれています。
しかも、そのプロジェクトチームには会社のトップ営業マンを入れましょう、と書かれています。
トップ営業マンを入れるのは、「お客様に売れる=お客様視点に立って何を伝えればいいか考えられる」というのが、「求人応募を獲得できる=求職者視点に立って何を伝えればいいか考えられる」から来ています。
しかし、はっきり言って、そんな人員いないですよね?
役員と建設業なら職人、運送業ならドライバー以外は、事務職で2、3名いるだけという会社がほとんどです。事務職の人は総務関係や経理関係など複数の仕事を持っています。
現実的には、「社長+事務職が兼務」または「社長+役員1名+事務職が兼務」のような2名か3名で求人関係の仕事をしている会社がほとんどです。
しかもトップ営業マンって。建設業はその多重構造から、下請けや孫請け等でやっている規模の会社が多くなりますので、営業担当はいないでしょう。運送業でも、荷主さんとの古くからの関係でずっと仕事をしていることが多いので、新規で営業するシーンが少なく、やるとしても社長自らか営業所長になるでしょう。
なので、書籍に書かれているような求人プロジェクトチームは組めない、というのが実態ですよね。
実際、書籍に書かれているようなプロジェクトチームが作れたら、それはそれに越したことはないです。その方が、結果も出るでしょう。
プロジェクトチームが作れないとどんな問題があるでしょうか?
それは、どうしても社長や役員から一方向から考えになったり、バイアスがかかってしまうことです。
例えば、会社の魅力を洗い出すときに、社長や役員という経営トップが思っていることしか出てこなくなります。これまでの経験上、経営トップと社員とでは感じてる会社の魅力が違うことが多いです。
プロジェクトチームを作って社員も入っていれば良いかというと、意見が言いやすい環境がないと、社員が発言してくれないので、結局、同じことですが。
なので、本当に大切なのは職人やドライバーに「うちの会社の良いところ、魅力って何だと思う?」と聞いたときに、本音で答えてもらえる会社の雰囲気や文化を作っておくことです。
例として会社の魅力の洗い出しを挙げましたが、求人で成果を出すには職人やドライバーの協力が欠かせません。プロジェクトチームではないにしても、社員を巻き込んで進めるようにしましょう。
うちの職人は、うちのドライバーはそういうのに協力してくれそうなのはいないんだよ、とおっしゃる会社で求人がうまく行ったケースは当社ではありません。本当に人手を確保しなければならないのであれば、ニンジンをぶら下げるでも何でもして、協力してもらう覚悟が必要です。
書籍では、予算や人的リソースの制約は考えずに、考えられるフルセットの方法を提案することになります。業界や職種を絞っていない以上、必然的にそうなります。
例えば、
・コーポレートサイト以外に採用サイトを別に作りましょう
・ブログで情報を発信しましょう
・FacebookやInstagarm、TwitterなどのSNSを使って発信しましょう
・会社の雰囲気が分かる動画を作成しましょう
・ハローワークに登録しましょう
・求人サイトで有料の求人広告を出しましょう
・合同企業説明会に参加しましょう
・社員の紹介採用を増やしましょう
・募集要項を見直しましょう
などなど
大企業のように湯水のごとく予算をかけられ、人事部を中心にプロジェクトチームを大人数で編成できるなら、それは全部やります。全部できれば、求人応募がきます。
でも、中小企業の限られた予算と人的リソースの中で『どのように選択と集中するか』を考えることが重要です。あれもこれも全部やりましょうでは絵に描いた餅になります。
繰り返しになりますが、「選択と集中」。これに尽きます。
採用サイトを別個に作るとなると費用がかかります。会社紹介の動画を作る、有料の求人広告を出す、合同説明会に参加する、といったこともすべて費用がかかります。
「1人採用するのにどれだけの費用をかけられるか」を決めておくことが重要です。職人を1人採用して現場に入れたら年間でどのくらい利益が出るか?平均勤続年数を掛けたら、会社にいる間にどれだけの利益を生み出すか?ドライバーも同様に算出してください。
そうしたら次は年間に何人採用するか決めてください。そこから、求人のためにかけられるコストを決めてください。とにかく無料で獲得したいという場合は、ハローワークに登録し、Indeedなどの求人サイトで無料掲載したりして、いつか応募が来るのを待つしかありません。
求人で使えるコストが出たら、その中で優先順位を決めて投資しましょう。まずはプラットフォームとして採用サイトを作るのをお薦めしますが、明確な基準をもって優先順位を決めることが大切です。
仮に、社長や役員、事務のメンバーで「SNSで投稿するのが苦でない、むしろ楽しい」という人がいれば、使うSNSを決めて情報発信をするといいです。日々の投稿だけではなくて、フォローしてフォロワー増やしてみたいな地道な作業も必要ですから、好きで楽しいと思える人でないとしんどいです。
それに、効果が出るまでに最低でも1年はかかります。すぐに結果が見えない中で続けるという意味でも大変ですが、地道に続けた結果、1年目で5名応募、2年目で103名応募が来た会社もあります。
職人の求人やドライバーの求人では、書籍が役に立たない理由を書きました。実際は人事系のコンサルタントやセミナーでも同じようなことがあると思います。
逆説的にまとめると、
・中小建設業や運送業の実態を理解している
・職人の求人やドライバーの求人に詳しい
・会社の実態に合わせた選択と集中を提案してくれる
書籍やコンサル、セミナーがあればあなたにとってすごく役に立つことになります。
今後、いろいろ情報収集するときは上記の3つの視点があるかどうかをチェックしてください。そうしないと一般論や理想論の求人手法ばかり情報が集まってしまい、どうすればいいか右往左往することなりますので、ご注意ください。
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